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株式会社藤巻製作所 代表取締役 藤巻豊

「自動車エンジン部品・住宅用大型パネル製造会社で、リーダーを目指し再出発!」

 

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静岡県・沼津市で、職親をしている『藤巻製作所 代表取締役 藤巻豊』
「過去より未来なんですよ。未来は自分でつかみとるものだから。自分の気持ち次第で如何ようにもなると。我々は職親プロジェクトを通じてあなたの未来を明るい未来にするお手伝いをします。頑張ってもらいたいなと思いますね」と熱く話す社長に、本社となりの空手道場でお話をお聞きしました。
(2015年12月17日)

ーーこちらでは、どんな製品を作られていますか。
自動車部品と住宅用パネルの製造です。自動車部品の製造は主にパイプです。自動車用配管・パイプの加工製造。主にエンジンの中に入るものや、エンジン周り。8割以上はエンジン、もしくはエンジン周りの部品ですね。私どもの製品はガソリンパイプ、それからオイルパイプ、ウォーターパイプ、エアーパイプと4種類あります。直接噴射する装置のパイプもあります。

ーー職親プロジェクトに参加された経緯は。

官民協働の刑務所、山口県にある美祢社会復帰促進センターを出所した2名の女性を受け入れたことがあります。その仲介をしてくれた出版社の人から、職親プロジェクトの話を聞き、参画させてもらう事になりました。就労したくてもできないみたいだよっていう話もね、いろいろ耳に入っていたんですよ。保護司になった経緯もあるし。少年院、刑務所出身者の就業支援をやってみようと。
この会社も募集広告を出してもなかなか人が来ないとか、来てもすぐ辞めちゃうだとかっていうこともありまして、就労支援で1人でも2人でも立ち直りができたらいいね、それがきっかけです。

ーー今までに何人ぐらいの方がこの職親プロジェクトで来ていますか。

10名で、今勤務しているのは5名です。やっぱり仕事がきついだけで合わないだとか、あとは故郷が恋しいだとかね、そんなこともあって。結局すぐ辞めた人がいましたけど、短い人は2週間ですね。最初の半年が1つの壁で、その壁を超えると継続できる可能性が広がります。矯正施設の中で動かしていた筋肉と、仕事に使う筋肉は違いますからね。あとはやっぱり全部立ち作業ですから。特に住宅用パネルは立ち作業が多くてこれまでと環境がまったく違う。早く順応してくれる人もいるんですが、遅い人もいるわけです。

ーー住居は。

社員寮として、アパートを借りています。同じ棟に、多くの戸数があるものですから、隣り合わせじゃなくて、少し離れたところの部屋で。1階、2階に分散させています。とにかく自分の部屋が先ず持てるのが嬉しいんだけれど、やっぱりそれでしっかりできればいいんですがね。うちは社員寮規則もあって、管理監督しています。

ーー親心からの教育心的な指導と、どこからがプライバシー侵害になるのか悩ましいですね。

でも半年ぐらいなんとかやりくりしてると、だんだん馴染んできて。毎日職場に来て同じ顔見るじゃないですか。やっぱり自分だけこうじゃなくて、だんだん溶け込んできて。僕らは年に1回か2回必ず宴会やるんですよ。全員来なさいと。和気あいあいとして、そういうのきっかけで。この間もちょうど僕が社長になって30年になったんで、そのお祝い兼ねてちょっと早いけど忘年会やろうっていって、某ホテル貸切にしましてね、従業員と協力企業さん全部含めて。そういうところで結構馴染んじゃうんですね。仕事も上司ともうまくキャッチボールができて、そのまま仕事も覚えられて、いい方に転じていくんですけど。やっぱそこで、殻を自分で破れるかどうかだと思うんですけどね。うちはオープンでやってますから。責任者、リーダー、班長なんかも遮蔽的につき合うわけじゃなくて、普通の一般人として、社会人としてやらせてますのでね。

ーー勤務期間の状況は。

一番長い人が1年。それから、半年を過ぎた人もいます。
中には、まだ僅か1ヵ月なんですが、とても馴染んじゃって、仕事も良く覚えてくれて、上司からの評判も良いんですよ。矯正施設にいる間、反省してるはずですよ。だから結局出たら一般社会人として普通にやって、普通に納税して、普通の人間に戻れるんだと。それで、やっちゃったことは変えられないんだけど、これから先は自分次第で変えていけるわけですね。僕が願うのは、その子たちが、もうちょっと何年かした時には後輩を指導してほしいんです。

ーーリーダーを目指してほしいということですね。

リーダー、班長、係長、課長って段階制度があるんですけど。やっぱりそういう経験も、ある意味したくてもできないじゃないですか。自分の肥やしに全部なって、やっぱり人の心がわかる上司になってくれればな、そんな感じでいますけどね。

ーーうまくいかなかったケースもありますか。

親がどうしても自宅から通わせたいというので、寮を出したんです。2週間で、悪い友だちにまた巻き込まれて辞めてしまいました。本人は、自分だけたまたま運が悪くて捕まったと思っています。半年後に帰ったら、昔の悪い仲間がいるわけですよ。浦島太郎じゃなくて何十年後に帰ったわけじゃないですから。やっぱり、おいおいっていう話でね、染まっちゃうんですね。結局、自動販売機を壊して、現金を盗んで捕まりました。また、職親の前に、2名の女性を受け入れました。この時は大きめのアパートを借りて、一緒に住んでもらったんです。この2人は仕事はバリバリやるんですよ。ところが1人が逃げちゃったんですよ。1週間以内に戻ってきてくれたんですけどね。いろいろ話を聞くとアパートでいじめられていたんです。それで他のアパートを借りて、別の工場に移したんです。今度は、残った方が、上司の言うことだんだん聞かなくなるわけですよ。ストレスの捌け口が無くなって、精神バランスが取れなくなって。工場長の言うことも聞かなくなってしまい、まだ保護監察期間が残っていたんですけど辞めてもらうしかなくなりました。

ーー一番難しい部分は。

やっぱりね、来た時は一番嬉しいはずなんですけど、自分の殻を自分でつくっちゃう。要するに、パンフレットとかしか見てないじゃないですか、会社の。実際やってみると自分の思っていたのと違うとか。後は自分自身ですべて食事もやんなきゃなんないんで、そのへんできる人とできない人がいるんですね。いろんな仕事以外のことで、かなりストレスを溜める人っていうのもいますよね。そのへんはもう、若い子っていうのはうちの女房がお母さん代わりで接してくれてるものですから、いろんなことを相談に来たりなんかしてますけどね。あとはやっぱり保護司さん。保護観察期間は保護司がつきますから。我々の保護司仲間ですけどね、この地元の。その人たちが結構いい人なもんで、よく話をして。

ーー本社の隣の空手道場も、リフレッシュに良いですね。

厚生施設みたいなもんですけど。定時で終わった後とか、定休日の木曜、日曜とか、汗びっしょりなるまでやってますよ。殴ったりね。飛んだり跳ねたりしてますね。

《会社データ》本社・静岡県沼津市大岡989-6

《事業内容》製造業(自動車部品、住宅用パネル)

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