日本財団再犯防止プロジェクト

 
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雲水 立花太郎代表

便利屋・リサイクル業「雲水」

立花太郎代表

雲水・立花太郎代表.JPG 

 ーー少年院や刑務所での生活はどのくらいですか

 これまでに入った回数は12回で、35年の人生の半分以上を施設内で過ごしたことになります。一番、長いのが最初に刑務所に入った7年で、罪状も窃盗や恐喝、傷害などかなりに上ります。慣れなのか、刑務所内は動物園かと思うくらいにぎやか、被害者の方が見ると腹が立つような環境で、中での生活は特に苦じゃありません。でももう施設生活に飽きちゃったんですね。もういいなという感じですね。それで平成25年に出所した時、普通の生活がしたいと思いました。

 ーーその時に更生支援を目的に設立された産業廃棄物業「ヒューマンハーバー」に入ることに

 刑務所時代の先輩に「まじめになる気があるか」と誘われました。入ったからには「この人の顔はつぶせない」と気持ちはありますね。たくさんつぶしたこともありますけど。無断欠勤はなかったですが、寝坊で遅刻は多かったです。どんなに遅刻しても「すみません」と謝って働かせてもらいました。一般の人がするような失敗は一通りしました。

 ーーヒューマンハーバーは教育の時間もあります

 勉強自体が嫌いで、週に1回だから我慢すればいいやと安易な気持ちで授業を受けていました。独学が好きですが、人から教わるのは自分が好きじゃないものを教えてもらうわけで、嫌だなと思っていました。数学とか最悪でしたね。小数点はだいたいわかりますけど、分数の計算ができません。小学校3年生レベルでしょう。わけがわからんという感じでした。「数学が一番嫌いです」と先生にいうくらい苦痛でしたね。でも数式の意味がわかり始め、計算ができるようになればおもしろくなるもんですね。

 ーー小学校のとき、勉強をしてればと思いましたか

 もし、自分が数学が学年で一番だったら、刑務所に何度も行くようないまの自分ではないでしょう。やっと俺も勉強するようになったかという感じですね。一歩違うだけで人生は全然別のものになったと思います。

 ーー勉強して、働いて、普通の社会人に

 ヒューマンハーバーは一年間が終われば、卒業することになっていますので、卒業が近くなった残り3カ月くらいでようやく遅刻もしないようになりました。休みの日には自分がしたい仕事の資料請求や面接をしていましたが、実のところは個人事業でもいいから自分の会社を興したいと思っていました。周囲の反応は「もう少し就職してからでも遅くはない」という意見と「いいんじゃないか」という意見が半々でしたが、ヒューマンハーバーは「100人の経営者を育てる」とうたっています。それまではだれも経営者になっていませんので、起業することにしました。

 ーー名刺には便利屋・リサイクル業「雲水代表」、そして「ヒューマンハーバー ある蔵より独立起業第1号生」とあります

 漢字が好きで、辞書を引いていたら行雲流水という言葉あり、雲も水は形がないし空と地で性質が同じなのに生き方が違いますが、障害物があればすり抜け、広い世界を流れていくさまがいいなと思いました。自分も問題があったらすぐ衝突しないでスルリとすり抜けていくくらでっかい人になりたいと思い、社名を「雲水」と名付けました。

 ーー仕事は主に何を

 基本的には不要品処分などのリサイクル業が多いですけど、作業中に「机を直せますか」といわれればその場で修理するような、できることは何でもする「何でも屋」で、事務所兼住宅で資格や営業許可がいるもの以外いろんなことをしています。自分一人ならホームレスでもできますし、どうにでもなりますが、娘と妻がいるとそういうわけにはいけません。生後2カ月の娘は日々成長しますので、自分も成長してがんばらんといかんと思いますね。

 ーーこれからの「雲水」は

 会社を始めて半年になりますが、2年間で株式会社にしたいという願望があります。それまでに資金集めと取引先の拡大をして、大きな夢にたどり着くまでの階段と思っています。あまりに大きな夢なので、笑われますが、この会社に行けば何でもあるコングロマリットの会社を作りたいです。いまは50代や60代の人でも働きたい人はたくさんいますが、なかなか働き口がないのが現状です。でもすごい経験を積んできています。そういう人たちを雇うような会社を作りたいと考えています。

 ーー少年院や刑務所を出た人も就職できるような

 刑務所にいるような人は周囲の目があるので強がりますけど、でも寂しがり屋や仕事熱心の人もものすごい多いです。現役のやくざの人も、できればお天道様の下で働きたいと思っていますよ。追われるような束縛された生活は嫌なんです。普通に働きたいという人は多くても、出所したら働きましょうとならないのは「どうせ俺たちみたいのは」というマイナス思考が働いてしまうからです。 

 ーーやればできますよと

 やればできるじゃなく、俺ができているのでできます。第三者の目から見て、あいつができているなら、俺でもできると思わせたいですよね。「人生の半分が施設にいたあいつができとっちゃろ。おれはまだ2年やけん、いけるやん」と思ってほしいですね。いい意味で背中を押されるような感じです。

 ーー立花さんがいい成功例になって

 施設の中でまだヒューマンハーバーの存在を知らない人もいると思いますので、自分でよければ、もっといろんな機会にどんどんと話して、「おれも」と思ってほしいです。施設の中でも「立ち直りたいなら、ヒューマンハーバーに行かんか」というくらい名の知れた存在になって、「雲水」でも施設から出た人たちを雇えるくらいの仕事をしようと思っています。がんばりますよ。

 《会社データ》 所在地・福岡市井尻4ー26ー50 創業・平成27年 《業務内容》 便利屋、リサイクル業

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