日本財団再犯防止プロジェクト

 
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株式会社ヒューマンハーバー  副島勲社長

株式会社ヒューマンハーバー

 副島勲社長

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 ーー保護司になられてどのくらいになりますか

 今年で20年目になります。不動産仲介業をしていて地域の人から推薦され、保護司になりました。平成22年、いまは社員になっている者が4年の刑期を終えて出所し、私の対象者になりましたが、話をすればするほど彼の優秀さに気づき、更生させるためにどうしたらいいかと考えたのです。刑務所を出たらすぐに働ける場があればいいということになったのです。

 ーーすぐにスクラップ業に

 スクラップの買い取りだったら売り込みに行かなくもいいですし、産廃の中間処理業の資格を取れば、スクラップの買い取り業と中間処理業の両方できるのではないかと考えたのですが、2人とも素人でしょう。まずスクラップ業の市場調査をしますと、資金が1億円くらいかかりそうですので、無理かなとあきらめかけましたがお金は後からついてくるものと覚悟を決め、準備室を立ち上げ、資金集めと得意先獲得、仕事場となる土地探しを始めました。

  ーーすぐに現在のような形態を考えていたのですか

 違います。ある時、資金援助を求めに行ったお客さんから「あなたのやってることはこれですよ」と渡されたのが「ソーシャル・ビジネス革命」という本だったのです。すぐに本の監修をしている九州大学の岡田正治教授に教えを請いに行ったわけです。ご指示通り、配当のない会社で、1口100万円の賛同者を募ることになりました。でも、ビジネスですから賛同者だけでは成り立たないため、「こういう会社をしたいが仕事をくれますか」と福岡県同友会の会員を中心に約600社を訪ね歩きました。土地探しも難航しましたが、西鉄が所有している空き地があり、平成24年12月、設立にこぎ着けました。株主とは投資額以上の配当しないという基本的合意書を交わし、就労支援「ある蔵」、宿泊支援「てんしん塾」、教育支援「そんとく塾」がそろわなくては再犯防止につながらないという三位一体の構想を理解してもらっています。

 ーー最初から就労と宿泊に加え、教育も

 少年院や刑務所にいたような人生につまずいた人は「おれなんてどうせ」「つまはじき者だから」と投げやりになっているところがあります。こういう自己否定意識は教育で直さないと直りません。20歳も過ぎた大人がなぜ算数をするのかといいますと、どうしてどこでつまずいたかが理解できるのです。文字が書けない人が書けるようになりますと、はがきを書きたくなるでしょう。だから算数でもこれまでいろいろつまずいた経験があり、勉強でつまずくと学校が嫌いになります。教育の基礎ができない人にどんなに押し込もうとしてもだめなんです。

 ーー基礎教育を受けることで理解できるように

 彼らの一番の問題は基本的な心構えができていないことです。それで、投げやりになったり自己否定意識が強かったりする、その裏返しで虚勢を張ってしまいます。普通の人なら我慢とか辛抱とかありますけど。面倒くさいから辞めたとなって職も長続きせず、結果としてまた犯罪に走ってしまいます。

 ーー学ぶことで社会的常識を身につける

 人間社会において大事なことは人との約束を守る、時間を守る、嘘をつかない、という基本的なことなんです。物をもらえば感謝の言葉をいう、コミュケーションをとるために自分から挨拶をするような当たり前のことができないと他人とのコミュケーションがとれません。金銭の使い方も大事で、お金がない人生を送っていますので、どうしても使い方が荒くなってきます。お金の使い方と稼ぎ方、次は増やし方を知らないとようやく世の中に出て、自由にどうぞと行っても無理が生じてしまいます。買い物実習として、電卓で計算させ、「そんなに買い物したら一週間もたないでしょう」と千円以内で生活必需品を買いそろえることから教えています。ほかにもカレーライスや親子丼などの調理実習もあります。

 ーー現在、従業員は

 20数人でそのうち出所者は8人、そのうちの2~3人が「そんとく塾」で勉強しています。彼らは忍耐力がないとよくいわれますが、本当に目覚めたら、すごい忍耐力がありますよ。ヒューマンハーバーは最終就職先ではなく、社会に出るまでのリハビリする場所です。そのために宿泊場所、自立のために必要なお金を稼ぐ場所、教育を受ける場所です。世の中はどんどん進化しており、隔離された刑務所から出ても戸惑うばかりです。1年間という決められたリハビリ期間として、ヒューマンハーバーで、約束を守るとか基本的な社会常識を身に付けてもらい、本当にしたい仕事に就いてもらいたいのです。ですから常の「本当に何がしたいのか」「どんな仕事がしたいか」と絶えず尋ねています。それが見つかる間はうちで働いてもいいですが、別の仕事がしたい人、自立したい人は応援します。だから社名を「人間の港」と名付けました。

 ーーヒューマンハーバーが目的地ではいけないと

 あくまで刑務所と社会をつなぐ中間施設です。何のために就労するかというと生活するため、生活とは生きる力は必要で、生きる力を得るためには学ばなければなりません。いまの世の中、その学びの場がないから作ったのです。

もっと刑務所内に教育をという声もありますが、刑務所は教育施設ではなく、二度と戻らないと思うような施設じゃないとだめでしょう。受刑者は仮釈放がほしいため、わかったような顔をして勉強しても、何も身につきません。社会的常識や知識を身につけ、外のところに行って働いて、どんどん自立してほしいですね。

 

 《会社データ》本社・福岡市南区向野1―3―16 創業・平成24年12月 事業内容・スクラップ事業、廃棄物処理事業

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