日本財団再犯防止プロジェクト

 
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早稲田大学法学部 戸出彩水さん、明石花帆さん、佐藤里咲さん

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写真:左から、戸出彩水さん、明石花帆さん、佐藤里咲さん

職親プロジェクト東京会議に出席し、少年法(小西暁和ゼミ)を学ぶ早稲田大学法学部3年生の戸出彩水さん、明石花帆さん、佐藤里咲さんに同年代の再犯防止の取り組みや感想を聞いた。3人は昨年12月1日に開かれた「早稲田矯正保護展」にて、「非行少年・若年犯罪者に対する就労支援~再犯・最非行防止に向けて」と題した研究発表を行なった。

 ――小西ゼミでは実際に少年院や出所した人が働いている企業などの現場を調査したそうですね。

 戸出さん 就労支援している企業や少年院を訪問し、実際に接してみると、二十歳前後で、同じ年代の人たちなので自分たちと何も変わるところがない。ただ違うのは育った環境や置かれている境遇だけじゃないかと感じました。私も一歩間違えば、非行や犯罪に走っていたかもしれません。実際に見ることで、自分に置き換えて考えることができました。

 明石さん テレビや新聞のニュースで少年犯罪をみていると、自分たちとはまったく違う世界の話だと思いがちですが、少年院などで実務担当者に話を聞くと、犯罪や非行に走る少年は虐待や貧困という背景があることが多く、加害者でもあるけれど、被害者にもなるうる存在だと気づけたのはゼミで学んだおかげです。

 ――ちょっとしたきっかけで犯罪や非行に走るといわれています。

 佐藤さん 根本的は私たちとはあまり変わらない存在と思いますが、どこかで生きていく方向がずれてしまって犯罪や非行に向かってしまった。その犯罪に向けていたエネルギーを就労などの別の方向に向けていけば更生も可能だと思いました。

 ――職親プロジェクトでは職や住居などを提供しています。施設から社会に復帰するにあたり、何がもっとも必要でしょうか。

 明石さん 生きていく上でお金が大切。職とお金は密接な関係があるので、まずが働く場じゃないでしょうか。働いてお金を稼ぎ、職場の先輩や同僚と職を通じ、社会生活を学びながら、社会的に自立していくことが理想だと思います。

 戸出さん 私も職ですね。だれにも自分を見てもらってこなかった人が多いので、働くことで自分を表現し、人に関心を持ってもらい価値を認めてもらうことで自分自身を確認し、さらにその対価として金銭をもらえる。やはり職が大切だと思います。

 佐藤さん 職が一番と思いますが、家族の存在も重要じゃないでしょうか。家族のために頑張れ、働き続けられるというのもあると思います。

 ――出所者が社会全体に受け入れられているとはいえないのが現状です。もっと多くの企業が参加し、再犯防止の手を差し出す社会になるのはどうしたらいいでしょうか。

 戸出さん 大人はすでに完成され、価値観が固まってなかなか変わらない。現在では障害者を社会の一員として認めているように、小学校くらいから知識として与えるようにした方がいいのではないでしょうか。出所者や出院者が就労した施設で話を聞いたとき、最初はすれ違いもあったけど、接するうちにお互いにどんどん打ち解けてきたそうです。最初はだれでも拒否反応があるのは仕方がないけれど、馴染んでいくうちに出所者の周囲に理解者が増え、点からさらに面のように広がっていくようになればいいと思います。

 明石さん 大企業ではかなり難しいかとは思いますが、中小企業などで地道に取り組んでいくのがいいのではないでしょうか。職親プロジェクトもまだまだ世間に知られていないと思うので、一般社会に知って貰うのが大切だと思います。

 佐藤さん もし職場で急に昨日、刑務所を出てきましたといわれたら、私自身人見知りの部分があるので戸惑うと思いますし、他の人も身構えるでしょう。どんな人でも知らないものに対する恐怖感はあります。ですが、実際に話してみると、だんだんと変わってくるのではないでしょうか。交流し接する機会を増やしていくことが一番だと思います。

 ――現在も少年院、刑務所ではさまざまな就労支援教育を行っていますが、どういう教育を行えば、社会に出たときに役に立つと思いますか。

 戸出さん パソコンを使う訓練はもっとあってもいいのではないでしょうか。在宅でもできますし、企業に入ってもすぐに戦力になります。それと、コミュニケーション能力を身につける訓練も大切なのかな。こうすれば相手がどう思うか、こう言えばどうかという相手の立場に立って物事を考えるようにできる訓練です。自分の意思を言葉にすると自分自身で意思を確認できるので、お互いに言葉に出して話し合う場を増やしていくことができればいいと思います。例えば、教室に椅子で輪を作って話しやすい環境を作ってあげるなどするといいかもしれないですね。

 ――3年生で就職活動を控えていますが、再犯防止で学んだことは社会に出たときにどう生きるでしょうか。

 明石さん 実際に法務省などの公務員にならない限りは直接、生きることにはならないですが、社会にこういう問題があることを知る事ができたことはプラスになると思います。再犯防止に対する各企業の取り組みなどを知ったことだけでもよかったと思います。

 佐藤さん 非行や犯罪などとは関係なく、事業主が何を求めているか、働いている人にがどう感じているかを実際に双方にお話が聞けました。どうしたら人は働き続ける事が出来るかということを考える機会に恵まれたことは今後の社会生活で役に立つと思います。

 戸出さん 早稲田矯正保護展には同級生や専門家の方など三百人くらい来場していただき、自分で調べたことを伝えるのは楽しかったです。頑張って今を生きる少年の存在を知って、元気をもらったという声も聞きました。自分が発信したことに、様々な視点から意見がでたことが、驚きとともに嬉しかったです。さらにそれを深く考えてもらえたら、いいと考えているので、新聞記者などの職業に就きたいと考えています。少年の再犯防止のような問題を取材し、記事にして読者に伝え、問題意識を持ってもらえる仕事をしたいですね。

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