活動内容

PROJECT

INTERVIEW

インタビュー

株式会社ビ・ボーン 代表取締役 宮下竣吉 氏

企業

「一流に素直に学ぶ。そして徹底的に受け入れる。少年院で皆さんと話した時に、それを受け入れる素地はすごく持たれていると感じました。素直な心を大事にしてもらえればすごく成長できると思います」と熱く語る、株式会社ビ・ボーン 代表取締役 宮下 竣吉さんに、山中湖畔のログハウスのオフィスでお話を伺いました。

株式会社ビ・ボーン 代表取締役 宮下竣吉 氏
こちらの会社のお仕事は何ですか。
建築業です。住宅、家をつくっております。家っていうのは、ご存じのように、鉄筋コンクリートとか鉄骨とか、いろいろありますが、日本古来の木造、特に木造でもログハウスをメインに、自然素材を使った住宅を皆さんに設計、施工ということでご提供しています。
アレルギー疾患が増えて、自然素材の家に住みたい人が増えていますね。
そもそも自然素材しか我々が生まれる前からなかったわけですから。議論をするというよりも、議論をしなきゃならない時代になったっていうのも、ちょっと寂しいかなと思います。やっぱり原点回帰と申しますか、改めて「木の家の良さ」がみなおされていますね。
ここも、木の香りがすごく心地良いですね。
多分空気感が違うと思うんです。例えば氷の部屋にいると、その空気が氷に接している。コンクリートの家は、コンクリートに空気が接していますから、木と接しているのと異なります。人肌に触れているのと同じようなものですから、その外皮というか、サーフェスが違うということは、それなりの効果がなければ、ある意味おかしいですよね。
職親プロジェクトに参加されたきっかけは。
受刑者だった若者に会う機会がありまして。実は今、その若者に弊社も仕事の一部を担っていただいている部分があります。どうしても建築の、例えば図面とか、ハイテクな部分も機能させたり、利用したりするんですけど、ご存じのように、すべて人がつくる。例えば、スカイツリーも素晴らしいテクノロジーが必要ですけど、最終的には素晴らしい鳶屋さんがいないと出来ないわけですから。地球からの大事な材料、ある面で人間も材料かもわかりませんけど、そういったものを活かすってことに関して、そういった若者と一緒に再構築。やはり、どんどんどんどん、人が活躍して、活かされて。あとはやっぱり同じ人間でありながら、たまたまそういった形の経験をした人たち、私もたまたまそうなっていませんでしたけど、どちらが良い悪いではなくて、雇用の機会があれば、納税者として国を支える人間になる、ということを思った時になんて素敵なことなんだろうと、今も取り組ませていただいています。
どんな若者に来てもらいたいですか。
当社は建築ですからスキル的な話もありますけど、スキルは後、9割はモチベーションですね。元気な子。もうそこだけですね。先ほどお話したように、必ず何か今の世の中に対して不満なのか、うまくいかないのか、そういったことがあってそのルールの中から逸脱したわけですから、しっかりそれを受け入れて、要するに、感情が先走っちゃったわけですよね。本来理性があってその後に、もしくは冷静心というか、もっと人間的に勉強ができれば、そういう人間としての本来の姿があれば、そこで各々輝くことができるわけじゃないですか。その手前の手前の手前ぐらいで、ちょっと踏み外しちゃったんで、そこが出来さえすれば、そこが一番必要かな。もしくはそういったことをお話し申し上げて、気心が合うというか、前向きに考えられる方がいると思ってます。
若者は、ここでどんな仕事をするのですか。
 大工さんです。建築にはいろんな仕事がいっぱいありますけど、大工さんになりたい人に、ぜひ手を挙げてほしいです。ご存じのように、昔は大工さんが全てを仕切ってたんですよ。ですから、技術だけではなくて、素材のこと、いろんな業者さんにも手伝っていただくわけですから、自ずとリーダーシップ。それに対する人間的な特性、人間力。それとやっぱり外でやるもんですから、自然科学的な要素も、全人格的な勉強ができるもんですから。ぜひ大工さんになりたいっていう若者がいれば、ちょっとおこがましいですが、育てたいです。
建築現場は、この山中湖の周辺ですか
この周辺がメインで、ログハウスが中心です。もちろん一般の住宅も建築していますけど、別荘が多いです。半径で50キロぐらいのとこですかね。
面接の状況はいかがですか。
面接は今まで4、5名ほどです。実際1人来たんですけど、うまくいかなくて1カ月で逃げちゃったんですよ。必ず理解できるようなところまでいろんな方と話して、そこでの機会の深さを増すというか、そういう形で今捉えています。家庭とか、今まで育ってきた環境とか、そういった要因で人生を左右してた。ただ私もそうですけど、人間、運命はありますけど、運命は変えられると思ってますんで。彼らと実際会ってみて話して、彼らの素材から変わる要素は十分あるなって若者たちから感じます。
1カ月で逃げてしまわれた原因は。
私の自宅のすぐ目の前にアパートがあるもんですから、そこを借り上げて。ある程度のプライバシーも保てるようにしたんですけど。県の保護観察官と話した時には、以前の友だちとは連絡をとらないということだったんですけど、やっぱり連絡をとっちゃって。別の仕事にいきたいということで。3ヵ月の観察期間があるんですけど、それが目標でなくて、目的になっちゃってるんでしょうね。次回は、そういったものがきた時に耐えられるというか、越えられるというか、そこの意識づけをしっかりしなきゃまずいかなと感じましたね。
1カ月、接していたわけですからショックですね。
どうして私がもっと自分自身が変わることで一緒に機会をつくれなかったかっていう後悔の方が大きいですね。やっぱり私もまだ修行が足りないですけど、好きだった女の子にふられた、みたいな。こっちの方がきつかったですけどね。
いろいろ相手のことを考えて行動したのに伝わらなかった、もどかしさっていうか。
だから俗に言う片想いのようなものですよね。私が面接に行ってその後は、うちの担当と話をする。そうすると若干違う。毎日食事にも来ていました。ただそれで最初はよかったんだけど、多分普通の家庭の心地よさがちょっと肩が凝るみたいな感じで居心地が悪かったんでしょうかね。何より大事なのは、やっぱり同じ人間としてお互いが活かされなきゃおかしいですよね。だから要するに、自分にとっても、相手にとっても、それが社会にとっても、お互いが何らかの形でプラスになるっていう、そこだけですね。住宅も少子高齢化になりますから。そうすると結局今までいろんな社会制度があって大勢で支えていたものが少なくなるわけですから、移民を入れるか、子どもを増やすか、もしくは海外に行っても通用する人材か、もしくは1人で3倍のパワーを出すか。私は一番最後の1人で3倍のパワーを出す。だから、若い人たちが大工さんになって、棟梁クラスになれれば、大勢の人たちをリーダーシップをとって活かせるわけですから。
少年院を訪問して感じたことは。
私も刑務所と少年院で話させてもらったことがあるんですけど、意識づけはしっかりしている少年たちが多かったですね。ストレートな感情でいっちゃった、みたいな。俗に言う直球ですね。自分自身を誤魔化しにくいってことですね。直球か、もしくは大きく曲がらないカーブっていうんですかね。大きく変わりさえすればそれをちゃんと自分の頭というか、体でね、コントロールしてまたこういうふうにしようっていうのがあるんだけど、中途半端に曲がっちゃってるから、戻すにも根が正直なもんだから、それを言い訳してやるよりも、そのままいっちゃった、みたいな感じなんです。後は、やっぱり家庭環境ですかね。
やはり家庭環境に問題があるケースが多いですか。
私が話を聞いた子どもたちのところはやっぱり男親の不在や、男親の父性がない。要するに、簡単に言うと、男親がどうしようもなかったってことですね。ただいろいろ話を聞いてて、お母さんについては、自分の母親ですから認めている。ただし、心の浅いところでは嫌う。お母さんが父さんと別れて、新しいお父さんがいたりするとか。それに対する反骨心もあるわけですから、その裏返しとして母親を嫌ったり。本来は誰でも人間って親孝行したいDNAは入ってるんじゃないですか。お母さんの話をする時に、じゃあ本来君がね、子どもだろうが何だろうが、お母さんを手伝わなきゃなんないのが、その人がいるから、お母さんが生活できると思ったら、先ず恨むんじゃなくて感謝だろっていう話をすると、すとんと、わかるんですよね。あと、妹に対しても、今度妹が結婚するとか。新しい仕事をして旅行に行かせたいとか、結局自分がこういうところにいると何もしてあげられないとか。そうするとやっぱり人間としての、兄貴としてのエネルギーが沸いてくるんですね。
家庭の居心地が悪かったんですね。
小学校の4、5年生からやっぱり中学、高校まで、家で生活しない子がほとんどだったんですよね。帰ってもお母さんも仕事で遅いし、お父さんがいないし。いても酔っぱらってる、みたいな。要するに、本来の家庭ではないんですよね。
少年院を出院した若者の心の持ち方は。
必ず思いは実現する。ですから、強い思いを持ってもらいたい。というのは、イチローもバッターボックスに入る時には絶対打てるって入るわけですから。本田圭佑もペナルティーで蹴る時ですね、必ず入れる、と思うわけですから。絶対に強い自分自身への自信、絶対的自信を持ってもらいたいと思います。
【株式会社ビ・ボーン】
《会社データ》
 ▽本社・山梨県富士吉田市新西原2-25-10 ▽事業内容・建設業

一覧へ戻る