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INTERVIEW

インタビュー

明光電機株式会社 谷崎博志 会長

企業

明光電機株式会社 谷崎博志 会長
会長は和歌山県更生保護協会の理事長でもいらっしゃいます
罪を犯した過去のことは仕方がないと思いますが、少年院や刑務所を出た人には、どうしても二度と罪を犯してもらいたくないという気持ちが強くあります。再犯を繰り返さないためには3つの重要なことがあると思っています。1つ目は寝るところがあること、2つ目は仕事があること、3つ目に寄り添う人がいることです。この3番目が一番大事なことで、人間は孤独がもっともつらいもんです。せっかく出所してもまた犯罪に手を染めるような人はだれにも相談できないからまた犯罪に走ることになると思います。難しい問題ですが、だれかが寄り添ってやれれば、いいのです。そうすれば、自然と寝るところや仕事の問題も解決できるでしょう。
職親プロジェクトに参加した思いもそこにありますか
そういう人が必要というよりは、私どもがそういう人になれれば一番よろしいですけどね。まず寄り添うことが大切じゃないでしょうか。
どういう人を求めていますか
私どもの会社は電気工事屋ですが、若い資格を持った人はものすごく欲しいわけです。うちでは経理や営業でも電気工事士1種、2種をすべて取得させています。商品を右から左に流すだけではなく、技術を買ってもらうわけですから、営業でも電気工事を知らないのではお客さんと話ができません。電気工事を知らないのでは話にならないのです。
課題はどこにあると
和歌山の職親プロジェクトとして15社が参加していますが、どこも仕事を与えたいという気持ちと思いますよ。ですが、それぞれの企業にとっては問題もありますね。やっぱり、一番難しい問題は採用自体は私が社員を集めて協力してくれといったら終わりです。でもさてその後です。社員がどういう反応を起こすか。
少年院や刑務所の経歴を公開することが基本方針ですが
そこですよ。社員を前に「それでは紹介します。この人は昨日まで刑務所でこんなことをしていました」ということをみんなの前でいえるものかどうか。そして、社員が受け入れることができるかどうか。そこが一番の問題です。いまうちにはアフリカ出身の従業員がいますが、周囲は「明光さんは技術があれば採用するんだな」と言ってくれています。そう好意的に持ってくれればいいん
ですけど、そういう風にいくかどうかですね。最初は伏せておいてという考え方もあるでしょうが、今度はそれが判ったときにどういう反応が起きるかですよね。最初からいうよりも反響が大きいのではないでしょうか。
まだまだ社会はそこまで受け入れ態勢が整っていないと
社員には説得して受け入れさせる自信はありますが、30人ほどの小さな会社ですけど、いくら仲良くしてくれよといっても30人には30の口があり、何十の現場があり、施主さんもいらっしゃるので、いろんな噂が広がるのではないかと懸念しています。アフリカの人を雇うように簡単にすむのかなと思っています。しかし、採用してから難しい問題が出てくると思いますが、それを一つ一つ克服していかなければプロジェクトは進まない。
課題はあるが、まずは受け入れてということでしょうか
和歌山刑務所は女子刑務所ですから、私どもが期待している若い技術者は無理でしょうが、少年院あたりで資格を取った人を受け入れたいという意欲は十分にあります。でも、いくら周囲が受け入れようとしても本人次第ではないでしょうか。こちらが受け入れようと思っても、本人が横を向いていたら先に進めないし、本人のやる気があって、一生懸命に仕事をし、更生しようという本気度合いが見られれば社員も必ず応援しますよ。
和歌山では始まったばかりですが、意欲的な企業ばかりのように思えます
まず実際に受け入れて、みんなで課題を持ち寄れるようになればいいですね。人生をやり直す気構えを持ってもらうように、刑務所や少年院の矯正教育も重要です。われわれは仕事を教えることはできるが、矯正という仕事ができるかどうか、なかなかに難しいと思います。そこは専門家にしっかりやってもらえば、協力することはできる。矯正をしながら仕事をしっかりと覚えてもらうのが理想ですね。
【プロフィール】
<会社データ>
▽本社・和歌山市五番丁23番地
▽業務内容・電気設備工事業

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