活動内容
PROJECT

INTERVIEW
インタビュー
株式会社弘進テック 福岡支店 池田辰也 取締役支店長
企業
これから、職親プロジェクトで就業者の面接に入る、
池田辰也 取締役支店長に福岡支店でお話をお聞きしました。
子育てにご苦労された経験もお持ちで、実直な方です。

- こちらの会社はどんな仕事をされているのでしょうか。
- 建設業の中で、新築現場とか改修現場で、重量物の搬出搬入を行っています。新築ビルの屋上に大型発電機を上げたり、各階に配電盤を設置したり、病院、デパート、学校など大きな建物が作業現場になります。重い機械や設備機器をクレーンで搬入して据え付けたり、改修現場であれば、古い機器を全部撤去してから、新しい機器を入れる仕事になります。
- 職親プロジェクトで来られた方にはどんな仕事内容を担当してもらおうとお考えですか。
- 普通の入社と一緒ですね。後々に一人前になって、玉掛け、フォークリフト、ガスなどいろいろな免許を取得してもらって、1グループ4~6名ぐらいで現場に行くので、最終的には職長として現場責任者として活躍してほしいのです。
- これから少年院や刑務所に出向かれて面接をされるんですね。
- そうですね。出所する前に面接をして、決めるということですので。勉強、教育もしながら、一人前になってもらう体制です。
- 職親プロジェクトに参加されたきっかけは何だったんですか。
- 2つあるんですけど。1つは、建設業の人手不足です。若い人たちがなかなかこの業界に入ってこない。若い人を育てないと後継者が将来いなくなる危惧があります。若い人でやる気がある者がいれば入れて育てたいっていうのもあります。正直言って昔は、若い人が、建設業に入って家庭を持っても、きつい、汚い、危険って言われますけど、給料はそれなり高額だったので、魅力があったんです。今の建設業は昔と比べたら、給料が安くなってしまったんです。それで、人が入ってこないというのが現実なんです。
もう1つは、息子が2人いるんですけど、なかなかうまく育てることができなかったんです。お恥ずかしい話なんですけど、2人とも高校を中退してしまった。2人とも少年院に入ったりはしなかったんですけど、弟の方は入る寸前までいってですね。裁判所に行って裁判官が面接しますと。そこで息子さんを見て、いや、この子は、と思ったら少年院に入れますっていう話まであって、そこに私が行ってですね、もう一度だけチャンスをくださいと頼んだんです。自分自身も、うまく子どもを育てることができなかったという事もあって、もしうちに入社してくれたら少しでも世の中に役立てる生活ができるような形で育てたいと思っています。ちょっと世の中のお役に立ちたいなと思い参加させていただいたんです。
- 仕事の現場の様子は。
- 私たちの仕事っていうのは、危険が伴う仕事ですが、その分やりがいもあります。毎日、工場とかで仕事をするわけじゃないので、工場といったら毎日同じラインのところで同じ仕事をして、覚えてしまえば一人前にできるよ、みたいな感じなんですけど。私がこの業界に入って、30数年になるんですけど、昔の先輩方からは、この仕事を覚えるには、一人前になるには、最低10年かかるって言われてたんですよ。要は、毎日状況が違うところで仕事をするから。同じものを搬入するにしても、80メートルのビルに上げるのと、3階建てのビルに上げるのと違います。毎日環境が変わるところで仕事をするからリフレッシュ出来て、長続きするんです。福岡だったら、駅の中や天神の方で夜仕事します。博多駅の方であれば今結構大きなビルが2件建ってるんですけど、そこは新築現場、昼仕事します。全然環境が違う。毎日違うところで作業をするということで、飽きがくることの少ない仕事なんです。そのために長くいないと一人前にはなれない仕事なのかな。私たちの頃は、先輩から仕事のやり方を盗め、休み時間でも、ロープの結び方、これどうやって結ぶんですかってこっちから聞いたり。作業中は、次は何をするんですかとか。一生懸命覚えて一人前になるのが普通だったんですが、今の若い人の考えは違いますから。厳しくすればいいっていうもんじゃないでしょうから。仕事を頼む時は私の方から、ごめん、きついけどこれやってくれんか?みたいな感じで、人と人とのつながりできつい仕事もやってもらったりしてますんでね。一番大事なのは人と人とのつながりの中で仕事をやっていくということかなと思いますよね。
- どんな人が、この仕事に向いていますか。
- やっぱり負けず嫌い。悪さをしてた人なんか、人に負けたくないとか、根性がある人はやっぱり1日でも早く仕事を覚えて、人からどうのこうの言われんようになりたいって言う人が正直言って伸びていっているんですよね。当社でも、職人気質の者もいますから、先輩、何しましょうか、また次何しましょうかって、判らない時は直ぐ聞く、こちらから声をかける対応をすれば、親方の方も可愛がってくれる。自分が仕事を覚えることになるし、人間関係もよくなるから、働きやすくなるんです。
- 真剣さが大事なんですね。
- 妻が、死ぬ気になれば何でもできると、私に昔から言ってたんですよ。
- 厳しい奥様ですね。
- 厳しいんです。私ができたけんと。死のうと思ったら人間何でもできるやろって言うんやけれども、私はどっちかっていうと、正直ものすごい内向的な人間なんですよ。
- まったくそんなふうには。
- 見えないですけれども、人見知りして。学生の頃はもう女性と話そうとしても話せない、みたいな。だから若い頃から女性とあまりつき合ったこともなかったですからね。今の嫁さんと知り合ってですね。30数年になりますけど。私とはよく喧嘩したんですよ。死ぬ気になれば何でもできるって言う。死ぬ気になって死ぬ人、世の中いっぱいおるやろがって私は思うんですよ。
- おっしゃる通りで、先進国の中でも日本は自殺率がとても高い国ですよね。
- やっぱり弱い人間が多いんですよ。メンタル、心がですね。自分の中では私も営業したりとか、人前でどんどん話したりとか、しないといけないんですけど、普段は嫌だから極力人に会わないようにしたりとか、でもこれじゃ自分いかんよなと、自分の中で葛藤しながらですね。今日はここに行ってお客さんと会ってこうしようと決めて行かないと、お客さんのとこに行って、ワーワー言われて、他のとこに仕事頼むからもう要らんよって言われたりしたら、シュンとなって、なかなか次にまた行こうっていう気持ちが持てなくて、もういいや、みたいに落ち込むし、逃げようという気持ちがあるんですよ。でもそれじゃいかんということで長年やってきました、やっと多少っていうか、人とね、話せるようになったかなというところもあるんです。自分が変わろうとすればなんとかね、カーンとはいかないにしても、変われないことはないのかなと。
- どんな若者に一番来てほしいとお考えでしょうか。
- 先ず、将来的なことを自分で考えている人ですよね。ここを出て、今まで自分がやったことにそれなりの反省をして。それを踏まえた上で、ハンディキャップを自分はその時点で背負ってるわけだから、苦労じゃないけどね、努力をしないと一般社会には復帰していけないっていうところもありますから。気持ちを強く持った人ですよね。自分のビジョンじゃないけど、ここを出たら、計画ですよね。何年後はこうなって、こんな自分がおるよって、とにかく目標を持たないとですね、なかなか人間っていうのはうまく進んでいけないというところがありますからね。そのへんをやっぱり面接とかでは聞いて雇いたいなと思いますよ。やる気ですよね。本心は、言うだけだったらわからないですからね。
- そうですよね。
- うちの息子も、口は立つ、言うことは立派なこと言うんやけど、全然行動が伴わないっていうとこもありますからね。
- でもフリートークでしゃべれるっていうのは世の中を渡っていく上にはすごくプラスですよね。
- いや、プラスだけど、変な話、悪い方にいったら結婚詐欺師とかですね、うまいこと口で人を騙して、みたいなね。そういう詐欺関係の方にいったりとか。
- なるほど。
- 営業セールスとか、飲み屋さんとか、人と会話するとか、そういうところにいって何もなければいいんですけど、騙したりとかなれば、口で何とか逃げてこれたっていうのもあって、プラスにもなるけど、ちょっと怖いところもありますよね。私はこの建設業で現場の担当者とか所長とかおつき合いしてきて、口下手の方のほうが正直さではずっと長くつき合えた方が多いですね。
- そうですね。
- ただやっぱり基本的に人をね、嫁さんは人を信じないところから入り込むって言うんですけどね。私は人を信じるところから入りたいって言うわけですよ。そうすることによって嫁さんは騙されんやろって。私もどっちかっていうと騙される方なんですよね。
- そうですか。騙される人の方がいい人だっていう説もあります。
- 騙される人が馬鹿だっていうのもあるしですね。でも、騙された場合は自分が割切る事が出来れば心の中に残らないじゃないですかね。私みたいな性格で、騙したりしたら、騙した、騙したとずっと引きずって、いつまでもそれから抜け出せない、みたいな感じになるからですね。
- 職親プロジェクトの採用に向けて。
- 1人でも雇用がうまくいけば、その人によって、次またあそこの会社やったら、また後から来た人も、この会社はいいよって言えば、だんだんだんだん入りやすくなって、増やすこともできるのかなというところもありますしね。ただ絵に描いた餅やから、やってみてどうなるか。早くやらないかんですね。
- 【株式会社弘進テック】
- 《会社データ》福岡市東区多の津4丁目4-1
《事業内容》重量物運搬搬入据付業