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インタビュー

株式会社西日本光創 藤嶋久光 会長

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株式会社西日本光創 藤嶋久光 会長
いつから少年院や刑務所を出た人や保護観察を受けている人を雇用する「協力雇用主」に
平成十年から、「協力雇用主」として、これまでに何百人単位を受け入れてきました。すでに千人近いかもしれません。現在も、毎日十人から二十人くらいが出所後に働いており、年間でも約三十人を受け入れています。建設業界全体が人手不足で、我が社は建設業全般ですので、いろんな現場で働いてもらっています。
なぜ「協力雇用主」に登録しようと
私が少年時代に悪くて、遠回りをした人生だったので、できるだけそんな遠回りをせずに更生してほしいという思いで、いまでは会社上げて、社会貢献・地域貢献をしています。でも、再犯を起こさせないことは難しいことかなとも感じています。再び犯罪の道に戻らせないためにはまず仕事を与えることが大切です。仕事を通じて、普通の社会人としての生活を取り戻すことが更生への近道ではないでしょうか。受け入れる会社がどういう犯罪を侵してきたかを知ることも必要で、窃盗癖のある人はそういう場所に近づかせないとか、対応を考えることができます。
職場ではオープンになってされていますか
社内では暗黙のうちにわかっているようです。長年、取り組んでいますので、うちの従業員も抵抗感もありません。更生に力を入れていることは社員も理解し、「いいことですよね」と言ってくれますね。現場の社員はもちろんですが、管理部門の社員も「社員になったの、よかったね」と一緒に喜ぶような雰囲気にあります。
雇用に際し、条件のようなものはありますか
保護司会からこの人を受け入れてもらいたいと依頼された場合、基本的に断ることはありません。ですが薬物犯罪は難しいですね。更生しにくい薬物、性犯罪、窃盗は雇用していません。
多くの人を受け入れていますので、いろんなことがあったと思いますが
長いこと就労支援をしているので、良いこと悪いことがたくさんありました。良いことは更生して、幸せな家庭を築いているのを見ると、本当にうれしいです。悪いことは数え切れないくらいあります。逃げるときに、証拠をなくすため、会社の車を焼かれたり、集金したお金を持ったまま行方不明になったこともありました。まだ、社内だけならいいのですが、元請の会社や他社に迷惑がかかったときには辞めようか、いかんかなと思ったこともあります。元請け会社から「この人は外してください」と言われることもありますが、その時も本人には理由を説明するようにしています。
それでも続けたのは
就労支援をしなければよかったということはないですね。一見で人を判断することもなくなりましたし、罪を犯していても、苦労してきた方も居ますし、立派な人もいます。他の会社に就職する者も多いですが、少年院や刑務所から我が社に入り、子供ができて立派に働いている者もいます。創業当初に就労支援で雇った者が十数年経ち、会社の基盤を支えるような社員に成長し、会社の大事な戦力になってもらっています。相乗効果も当然ありますね。出てきたばっかりの人にとっては10何年も前に出てきた人が立派に働いているのを目の当たりにすると、励みになりますし、先輩の方は後輩にちゃんとした姿をみせなければいけないという気持ちになります。いい関係性が保てているのではないでしょうか。
長年、取り組んで感じることは
寮もありますし、一人暮らしがいい人には資金を貸して、アパートを借りてあげますが、出所して最初の1,2年はみんなやはり不安定です。若い子は朝、出てこなければ、暴走族に戻ってしまったかなと心配で、バイクを盗ったりする子もいますしね。数年経つと、普通の生活が当たり前になりますね。うちでは出所者は自分のことを卑下しないで働いていると思います。出所者かそうじゃないかは関係なく、だめなものはだめだし、いいことはいいという当たり前のことを当たり前にすればいいだけです。それが普通の社会であり、受け入れた人にも居心地がいいと思います。
会社に残る人はどのくらいですか
1割くらいでしょうか。他の会社に行く人もいますし、トラックの運転手や飲食店など他の業種に行く人もいますし、いろいろです。将来的に建設業以外の仕事に就きたいといわれれば、「しっかりとがんばれ」と喜んで送り出します。でも、うちの会社に務めた人は再び犯罪を犯す人は少ないのは確かです。働いていくうちに自然と社会常識が身につくようですね。「協力雇用主」に関心がある経営者には是非、勧めたいですね。悪いこともありますけど、いいこともたくさんあります。会社が一丸となって社会貢献に取り組む姿勢は必ずプラスになると思います。
【株式会社西日本光創】
《会社データ》本社・福岡市早良区野芥3-27-7
《事業内容》建設業、土木建築工事

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