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奈良少年刑務所

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奈良少年刑務所

「明治の五大監獄」の一つで、唯一当時の姿をとどめる現役最古の奈良少年刑務所が100年以上にわたる役割を終えようとしている。老朽化のため2017(平成28)年3月で閉鎖される。昨年から職親プロジェクトに参加し、これまでに3名が雇用された実績がある。

7月末、受刑者の受け入れを停止、現在収容している約300人は順次、各刑務所に移送される予定。

監獄制度の近代化を目指し、千葉、長崎、鹿児島、金沢ともに建設された五大監獄である奈良少年刑務所は、ジャズピアニストの山下洋輔氏の祖父で、旧司法省営繕課長だった山下啓次郎氏が欧米の監獄を視察し設計、1908(明治41)年に完成した。

法務省は年内に民間から活用案の公募を始め、国が所有権を保持したまま、民間に施設の運営を委託する。観光客で賑わう東大寺から約1キロに位置し、敷地は10万6千平方メートルと広大、アーチ型表門やドーム屋根など赤煉瓦造りの重厚な趣を生かし、博物館やホテルなどの活用を見込んでいる。

中央看守所から放射状に広がる五棟の舎房も特徴の一つで、2階の看守所から1階、2階の舎房を見渡せ、舎房廊下も下り坂になっており、死角が少ない構造になっている。ほかにも自然光を取り入れるように看守所や廊下に天窓が多く、教会をモチーフにしたといわれている。

奈良少年刑務所は主として初犯など犯罪傾向が進んでいない26歳未満の受刑者、20歳未満の受刑者、未決拘禁者を収容しているため、更生を目的にした指導が充実している。受刑者のうち中学校卒業約24%程度、高校中退40%程度のため、基礎学力を身につける小学校や中学校の教科教育のほか、県立大和中央高校通信課程に入学し、スクーリングには同校の教諭が来所し、授業を行う。岩本康彦総務部長は「普段接する刑務官とは違う教育専門官が充実しており、日常生活における指導と教育が別の意識で行われるため、効果が上がりやすい」と話す。

1964(昭和39)年に総合職業訓練施設に指定され、理容科やクリーニング科、電気通信設備科、介護福祉科などで実践的な職業訓練を行ってきた。保護者会も年8回程度行われ、各受刑者も年1回は参加する。保護者会では教育指導をする教育専門官も出席し、受刑者の近況を保護者と共有し、家族の関係を修復する機会、社会復帰に向けて具体的に考える場を設けている。

犯罪歴が浅い受刑者が多い同刑務所では出所後の円滑な社会復帰を目指し、履歴書の書き方や求人票の見方などを就労支援スタッフが指導し、職親プロジェクトの求人票も自由に閲覧できるように各実習所(受刑者が働く場)に配布し、就労意欲を高めるようにしている。

岩本総務部長は「以前と比較したら出所者雇用環境は劇的に変化したが、出所後すぐに就職できる者はまだまだ少ない。今後、当所に限らず雇用主さんと出所者のマッチングをさらに進めていきたい」と話していた。

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