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INTERVIEW

インタビュー

内閣総理大臣夫人  安倍昭恵 氏

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内閣総理大臣夫人  安倍昭恵 氏
東京・渋谷の女性専用更生保護施設の顧問をされています
「両全会」のことですね。葬儀社「セレモア」の辻(正司)社長が一度、視察してみませんかという依頼があったのがきっかけです。社長は卒寮生を雇用するなど長い間、支援を続けているそうです。視察の際、在寮生や卒寮生といろんなお話をする機会があったのですが、「犯歴は尋ねないでください」という事前の注意書きを読まずに行ってしまいましたので、みんなにいろんなことを聞いてしまいました。
何の罪なのですかと
覚醒剤が多かったですが、窃盗などみんなきちんと答えてくれて、最後には涙ながハグをして帰りました。その後、立川拘置所を視察した時には首相夫人ということを伏せたまま、手話ダンスの先生として、友人三人と踊らせてもらいました。何人もの人が泣きながら観てくださり、「これからがんばって生きていきます」「感動しました」のような感動的なお手紙もいただきました。手紙自体は見られることを前提に書いていますので、本心ではないかもしれませんが、何かしら心が触れあった瞬間でした。
私たちと何ら変わりがありません
私も一歩間違えればどうなっているかもわかりません。いろんな話を聞きますと、多くの場合、男性との出会いがきっかけで、人生が変わっています。人間ってちょっとしたことで変わるものですので、いつどこでそういう男の人に出会うかわかりません。薬をしている男に会わなければ、逮捕されることもなかったでしょう。その女の人が弱かったということもあるかもしれませんが、私たちもそういう立場に置かれたら、どうなっていたかわかりません。主人が提唱している「再チャレンジ」ということでは、罪を犯せば、償いを、一生背負っていかなければならないでしょうが。でも、だからといって仕事にも就けず、ずっと後ろ指を指されて生きていくことも違うと思っています。
なかなか社会に受け入れられません
罪を犯した人たちと関わってみますと、どうして受け入れられないのだろうかという考え方になりますが、まったく関わったことがない人は隣の家にいきなり殺人を犯した人が引っ越してくるということは怖いですし、嫌だと思います。そのあたりがすごく難しいところですね。
雇用する会社も少ないようです
人手が足りていれば、普通の人と出所したばかりの人のどちらを雇いますかといわれれば、普通の人を雇うでしょう。それが普通の企業だと思います。辻社長のように、世の中のために雇用しようという心意気がある経営者がもっともっと必要になってくるのでしょうね。過去に罪を犯しましたけれど、企業を興し成功したような経営者が「俺が雇ってやる」というのが一番いいかなと思います。
政府が雇用主にインセンティブを付けることがいかがですか
どうでしょうね。障害者を雇用するのとは違いますので、政府や行政で補助金を出すのは違和感があります。もっと根本的な対策が必要ではないでしょうか。広島の少年院でお話を聞いたことがありますが、何が犯罪かもわからないような発達障害の子がかなりの確率でいるそうです。犯罪の意味もわからない子や学校にも行ってなかった子が暴力団の人たちにちょっとした仕事を与えられ、褒められます。そうすると、いっさい褒められることがない子が、自分の存在意義を認められ、うれしくて一気に犯罪に走るそうです。そういう犯罪の道に入る前に、一人一人の特性を見い出し、マッチする仕事を与える教育や就労システムを作ることが大切ではないでしょうか。その子たちが犯罪者になる前の段階で食い止めることができれば、その子の人生にはもちろん、社会にとってもプラスです。犯罪後ではなく犯罪前の根本を改善することができればいいと思っています。
少年院や刑務所を出た人を受け入れるためには何が足らないとお考えですか
罪を犯したことをもっとオープンにして、もっと社会全体で関わっていくのがいいと思います。罪を犯したような人とは関わりたくないという人もいますが、もっと関わりたいと思っている人もいるはずです。でもいまのシステムではどうしたらいいかわかりませんし、出所した人も隠し続けることはつらいと思います。これからいろんなものがオープンになる時代が来ると思いますし、そういう時代にすべきだと思っています。
【内閣総理大臣夫人  安倍昭恵 氏】
昭和三十七年、東京都生まれ。六十二年に安倍晋三氏と結婚。ファーストレディーとして国内外で積極的に活動、ときには「家庭内野党」として意見も。

ミャンマーでの学校づくりや無農薬米の栽培などにも取り組んでいる。

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