活動内容
PROJECT

INTERVIEW
インタビュー
九州女子大学人間科学部人間発達学科 准教授 友納艶花 氏(臨床心理士・産業カウンセラー)
その他
病院で心理カウンセラーとして多くの方の相談にのってきた経歴を持つ友納 艶花 准教授の研究室で、「心」についてお聞きしました。

- 親プロジェクトで、各地で講演をお願いしているそうですね。
- 職親プロジェクトはとっても意義が深いです。この世に生まれて誰一人として犯罪の道を歩みたくて歩もうとしている人はいないと思います。いろんな要素と境遇があったのではないかと思います。しかし、1回、あるいは反復的に逸脱行動をする場合も、非常に多様性がありますので、一概には言えないのですが、先ずその部分を理解していくことが矯正と立ち直りを支援するスタートだと講演ではお話しさせていただいています。
- そうですよね。
- 理解について、逸脱行動をした人に理解を示さないといけないのかという点からみると、一般的には難しいことですが、犯罪に至る前までには、「助けてほしい」そういったサインもいくつか、どこかで出していたと思うのです。それは小学校の時かもしれないし、中学校の時かもしれない。しかし、そこでは自分ではどうにもできない、いろいろな要因の中で問題が大きくなる、そういう意味では自分自身でも解決できない大きな問題を抱えてしまうことが考えられます。その問題とその人の考えを理解する必要があるんじゃないかと思います。出所した後に繰り返さないように、本人が逸脱行動、反社会的な行動につながった問題やSOSの出し方を理解していく必要があるのです。
- 当人のことを受け入れ側がどう理解していくかという部分ですね。
- はい。それと本人が自己理解を進めるようにですね、また支援してもらう事への理解。本人たちがもっと気づくことが必要なんです。同じ困難な境遇にあった時に、皆が逸脱行動をするかといったらしないわけですから、そこの違いはどこにあったのか本人が気づいて理解しなくてはなりません。それを支援することです。
- 受け入れる企業はどんな点に注意して、どんなところに気を配って受け入れていけば良いですか。
- 受け入れる現場の声に耳を傾けて、その声を聞いた上で、共通点と多様性、教育・臨床心理・司法関係・福祉関係と連携をしながら対応していくもので、マニュアル化したものだけでは難しいところがあるかなと思います。
- 100人いれば100通りのケースがあるということですね。
- そうですね。個々のケースが違うんだったら個々の理解ですよね。出所者がこの職場では何を望んでいるのか。企業側のフォローだけではなくて、出所者の更生支援に係わる専門家と企業とが連携するために、情報交換を通して、どう支援をしていくべきなのか考えていくことも大事です。
- 日本は幸福度指数が低いと言われています。
- これは、ストレスと効率、仕事の効率比率の関係と似たようなものかと思います。ストレスがほどほどにある時に、一番やる気が出るんですよ。それを考えると、幸福度というものも、経済の裕福度と似た感じがあるように思います。経済発展途中の国の方が、幸福度が高い傾向が見られるのではないでしょうか。
- そうですね。
- 環境があまり変わらない時には、何をやってもだめだ、という感じになって、やる気が出なくなったりします。犯罪、逸脱行動もそういうふうに思った時には、陥りやすいですね。逆に、逸脱行動をした時、あるいはそのグループで、すごく受け入れられたという感情的な記憶が強いとそこから抜けられなくなって逸脱行動を繰り返すことに繋がります。
- 刑務所から出てきた後に仕事に就いて、その仕事での達成感とか、満足感みたいなものが増えていけば、再犯も減りますね。
- 環境と仕事は大事ですので、その職場で認められ、達成感がある、そのような感情を抱く経験が繰り返しある場合には、居場所である気持ちが増え、更生する可能性は高くなると思います。職業アイデンティティというものも係ります。続けられる継続的な職業の問題になった時には、何をやりたいのか、向き不向きなどそういった部分の理解と支援が必要と思います。
- 心理カウンセリングを利用されている方は多くないですよね。
- 最近は、ようやくテレビでも取り上げられているが、気軽に心理カウンセリングを利用できたらと思います。特に、更生支援では必要かと思います。
- まだまだ少ないですよね。
- 少ないです。病理的な部分だけというふうに思われがちですが、心の病理的な部分はもちろん、一般的な普通の心の悩み、ストレスの悩み、ストレスの緩和、キャリア支援とかですね。大きな問題になる前にストレス緩和に繋がる予防的なカウンセリングが知られたらいいなと思います。